アフリカ在来知の生成とそのポジティブな実践に関する地域研究


第3回研究会報告 (2007年10月6日〜7日)


■ 日時:2007年10月6日(土) 13:00−17:00
■ 場所:福島県二本松市 岳温泉ホテル光雲閣内会議室
■ 発表者と発表タイトル(敬称略)
・佐治 靖(福島県立博物館):「蜂蜜 −生で食べられるもの」
  <発表要旨> 本発表は、生で食べられるものである「蜂蜜」、その生態人類学的な研究意義について検討し、同時に、蜂蜜の獲得手段であるハニー・ハンティングや養蜂、とくに養蜂の一形態である「転地養蜂」が内在する独特な〈在来知〉について報告することを目的としている。これにより、本研究会の中心課題である「アフリカ在来知」という全体テーマに関連する何らかの話題提供ができればと思う。

・中辻 亨(福島大学人間発達学類):「ラオスにおける農村開発にともなう移住と生計活動の変化」
  <発表要旨> ラオスの山地部では盆地や河川沿いなどの低地で重点的に農村開発を行い、周辺のアクセスの悪い高地の住民に移住を奨励するという、低地中心の農村開発政策が進められてきた結果、農村内部での高地から低地への人口移動が顕著にみられる。本発表はルアンパバーン県シェンヌン郡の高地村落と低地村落を事例とし、両者の生計活動と土地利用を比較することで、このような農村開発政策の問題点を指摘しようとした。この結果、高地のフアイペーン村では安定的な焼畑により飯米を確保した上で、家畜飼育などの市場向けの生計活動にも従事し、その隔絶性にもかかわらず、ある程度の現金収入を得ている世帯が多いのに対し、低地のフアイカン村では焼畑の実施が困難で、飯米不足が一般化している上に、換金作物などの現金収入源もふるわない事実が明らかとなった。そのため、フアイペーン村からフアイカン村への移住世帯の多くはタイ系民族が支配的な低地社会の中で貧困化している。このような高地民の貧困化はまさに、低地を偏重する農村開発政策の中で生じたのであり、今後はこれを彼らの高地利用の継続を可能とするようなものに転換させる必要がある。

・杉山 祐子(弘前大学人文学部):「『見ればわかる』知識と『買う』知識:ザンビアの焼畑農耕民ベンバにおける農法についての知識とコスモロジー」
  <発表要旨> ザンビアのミオンボ林帯に住むベンバは、チテメネ・システムとよばれる独特の焼畑農耕を営んでいる。チテメネ・システムの基本になるのは、人々が「見ればわかる」と表現する知識や技術で、日常的な実践によって獲得される。人々は、具体的な経験と試行錯誤を積み重ねて、それぞれが自分の「知識」を蓄積し応用する。しかし同時に特徴的なのは、そのような「知識」が、チテメネ・システムに関わる「知識」の一部でしかないという認識が共有されていることである。その全体像は、「祖霊への作法」とよばれ、年長者らが秘匿する知識を加えてはじめて現れると考えられている。「祖霊への作法」は、コスモロジーと結びつき、象徴的な「熱さ」と「冷たさ」の循環に人為的に介入することによって、人が望む結果を得るための方法を示す。この種の「知識」は、それを知る人から「買う」ことによってだけ、手に入れることができ、「売買」には現金や地域通貨が使われる。チテメネ・システムに関わる在来知は、個々の身体に深く埋め込まれた「見ればわかる」知識と、「買う」ことによって、身体から取り出されやりとりされる知識という、2つの異質な知識の併存によって特徴づけられる。

研究会の様子
研究会の様子
研究会の様子



【10月7日(日) オンサイト研究会/ 福島県南会津地方周辺での現地調査】

* 農家の軒先などで飼育されているニホンミツバチの養蜂について見学・インタビュー(会津美里東尾岐地区)
ニホンミツバチ養蜂筒
ニホンミツバチ養蜂筒

* エゴマ栽培についてインタビュー(会津美里東尾岐地区)
エゴマの収穫
エゴマの収穫中の聞き取り

* カラムシ栽培、織について見学・インタビュー(からむし工芸博物館、昭和村)
* キノコの採集および栽培の様子について見学・インタビュー(昭和村)
* アザギダイコンの半栽培の様子について見学(金山町)
ソバ畑に自生するアザギダイコン
ソバ畑に自生するアザギダイコン

* キマダラルリツバメと桐との関わりについてインタビュー(蝶類生態博物館)
* 福島の桐下駄生産について見学(三島町)
下駄に加工する前の天日乾燥
下駄に加工する前の天日乾燥














 

更新日: 2007年11月2日 | 作成者: 事務局