アフリカ在来知の生成とそのポジティブな実践に関する地域研究


関係知ユニット 介入と交渉班


 この班では、開発介入の実践知や、フェアトレード、土地をめぐる紛争解決、難民への介入と交渉などの場面における実践知についての調査・研究をおこなっています。

研究活動


   今後の例会等の予定は決まり次第お知らせします。

これまでに開催した例会



◇関係知ユニット・介入と交渉班 第1回研究会
*紛争・難民・平和研究会との共催
・日時:2009年6月18日(木)14:30〜17:30
・場所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)・
    稲盛財団記念館3階中会議室
・発表者および発表タイトル
発表者1:岡野英之さん(大阪大学大学院人間科学研究科博士課程)
「紛争はどのように波及するのか−第二次リベリア内戦に参加したシエラレオネ人の事例から」
発表者2:榎本珠良さん(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
「北部ウガンダ紛争と国際刑事裁判所−『アチョリの伝統的正義』言説をつうじて」

発表要旨
【発表1】「紛争はどのように波及するのか:第二次リベリア内戦に参加したシエラレオネ人の事例から」岡野英之(大阪大学大学院人間科学研究科博士課程)
  武力紛争、特に内戦の考察において、紛争の隣国への波及はひとつのイシューとして取り上げられている。本来、国内勢力間での闘争であるはずの紛争は容易に国境を越え、隣国においても不安定化をもたらしている。特に、アフリカにおける武力紛争では、国内周縁部を支配する武装勢力が隣国に活動拠点を置いたり、物資の運搬に隣国を利用したりするため、戦略的な重要性を帯びている。しかし、紛争の越境プロセスを明らかにしようとするこれまでの研究はこの現象にたいして部分的にしか取り組んでこなかった。そのような研究は、武装勢力のリーダー層の行動や、彼らの国境を越えての協力関係といった武装組織の上層部の動きを明らかにしてきたが、普通の兵士がなぜ、どのように移動するのかについては考えてはこなかった。しかし、この作業は、紛争の越境を説明するためには不可欠である。本発表では、リベリア第二次内戦の勃発を事例に、シエラレオネ紛争にCDF(the Civil Defense Force)として参加した兵士が、どのように、なぜリベリアの武装勢力であるLURD(Liberians United for Reconciliation and Democracy)に参加したのかを明らかにする。この考察は、発表者が2008年10月にリベリアの首都モンロビアにおいてシエラレオネ人元兵士に対して行ったインタビュー調査に基づくものである。本発表は、発表者が行ったフィールドワークを、文献調査によって得られたCDFやLURDの形成や特徴と照らし合わせることによって第二次リベリア内戦ぼっ発のメカニズムの理解を試みたい。

【発表2】「北部ウガンダ紛争と国際刑事裁判所−『アチョリの伝統的正義』言説をつうじて」榎本珠良さん(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
  2003年、国際刑事裁判所(International Criminal Court、以下ICC)が正式発足した。以後、ICCが捜査や訴追の段階に至った事態はアフリカに集中しており、発足後6年間のICCの活動は、アフリカでの犯罪への対処をつうじた「不処罰の防止」、「法の支配の確立」、「平和構築」の取り組みとして論じられてきたといっても過言ではない。報告者の調査地の北部ウガンダについても、ICC初のケースとして、北部ウガンダの人々に正義をもたらし、犯罪を予防し、「平和構築」に資することが期待された。そうした一方で、ICCは各事態において様々な問題に直面してきた。北部ウガンダについても、ICC関与以降の経緯は複雑であり、他の事態でも指摘されることがある「平和と正義」の問題やローカルな「正義」とICCとの関係の問題などが噴出した。本報告は、北部ウガンダ紛争とICC関与の経緯を概観し、最大の論点の一つである「アチョリの伝統的正義(以下、伝統的正義)」をめぐる言説とその解釈を再考する。そして、特定の「伝統的正義」言説と解釈が形成された歴史的背景を探る作業を通じ、北部ウガンダの事態に関する議論が、アチョリ地域内外の多様な主体の間で、複数の認識枠組みや社会秩序構想が交錯しながら展開したことを指摘する。その上で、「伝統的正義」の言説および解釈が、ICC関与後の議論および紛争の展開にどのような影響を与えたのかを考察する。


◇関係知ユニット・介入と交渉班 第2回研究会
*紛争・難民・平和研究会、牧畜研究会との共催
・日時:2009年10月6日(火)14:30〜17:30
・場所:京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(ASAFAS)・
    稲盛財団記念館3階中会議室
・発表者および発表タイトル
発表者1:飛内悠子(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻)
「スーダン共和国ハルツームにおける国内避難民と教会との関わりから見る『避難民の経験』」
発表者2:波佐間逸博(長崎大学国際健康開発研究科 助教)
「武装解除計画は銃の需要を開発する―北東ウガンダ・カラモジャにおける「銃の除去」をめぐる国家主体と非国家主体の相克」

発表要旨
【発表1】「スーダン共和国ハルツームにおける国内避難民と教会との関わりから見る『避難民の経験』」飛内悠子(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻)
  エスニック・宗教紛争と見られがちなスーダンの内戦(1955-1972、1983-2005)は、実際には政治経済的要因に帰するところが大きい。だが内戦状態のスーダンを生きる中で、スーダン人自身が宗教の意味を社会機能面、そして社会規範などの文化面の双方において変化させ、それがスーダンの状況に影響を与えたのも事実である。この変化のあり方と現状の解明は、和平協定締結後のスーダンの安定にとっても重要な課題である。本報告は南部から首都ハルツーム郊外に逃れ住む避難民クク人と彼らが中心となって運営する聖公会セント・ジョセフ教会との関係を考察することで、この課題に応える足掛かりを作ろうとするものである。スーダンにおける宗教概要を説明した後、スーダンの国内避難民について教会との関わりを中心に述べる。これらを踏まえ国内避難民地区におけるククの人々と教会との関 わりを、教会活動を中心に見ていきたい。この教会はクク人自身によってハルツームでの信仰の場として建てられ、運営されてきた。報告では教会設立の経緯、そして教会活動によって作られるネットワークや「クリスチャン」であることの連帯意識が、機能的、そして精神的に彼らの避難生活の支えとなっていく過程を明らかにする。このように教会と避難民のかかわりを追うことによって避難民が内戦や避難、ハルツームにおける社会経済的事情に影響されながらも、自分達の生活を作っていくという「避難民の経験」の一端が見えてくるだろう。

【発表2】「武装解除計画は銃の需要を開発する―北東ウガンダ・カラモジャにおける「銃の除去」をめぐる国家主体と非国家主体の相克」波佐間逸博(長崎大学国際健康開発研究科 助教)
  東アフリカ牧畜諸社会における家畜略奪を焦点とする武力紛争がプロブレマティークであるという考え方は80年代以降の東アフリカ歴史観の転換に即応して展開され、自動ライフル銃の使用を地域的インセキュリティの根本原因とする諸報告を産出しながら、北東ウガンダ・カラモジャからの銃の除去をめざす武装解除へ政策実施の正当性を付与してきた。銃の除去を企図した政府計画は1983年にオボテ政権により着手された後、オケロ、ムセベニに継承され、銃の徴発戦略に変更をくわえつつ現在の実施にいたる。一方、カラモジャの住民たちは家畜や生命を略奪から防衛するため、放牧など日常的な場面での銃の存在を不可欠とし、今日までの中央政府主導の武装解除を、「われわれを人として取り扱わない」手口による、財産や命を直接的かつ間接的に奪う不条理な暴力行為として把握している。本発表では、議会や学界など強力な社会的機関による「カラモジャの『銃問題』」の実体化過程を検討するとともに、拘禁者の解放を目的として銃を調達するといった、軍事介入に対するローカルな対処の特徴を追究することをとおして、国家主体と非国家主体との相克の発生機序を明らかにする。










 

更新日: 2007年8月5日 | 作成者: 事務局